オリジナルメソッドを教材化するときに直面する3つの壁 〜その③:文章化〜

· コラム

自分が開発したオリジナルメソッドや理論を教材化したい方へ

1回目の記事(その①:客体化)はこちら >>

2回目の記事(その②:体系化)はこちら >>

こんにちは。「教材の力」で学びの場の課題を解決する教材戦略ラボの矢澤です。
私は普段、「学びの場」を主催するセミナー講師やインストラクターの方向けに、教材(主にはテキストやワークブックなどの冊子型教材)の制作プロデュースをしています。

クライアントさんのほとんどは、「自分オリジナルのメソッドや理論を教育コンテンツ化&教材化したい人」。

「あらかじめ体系化された教育コンテンツを教える人」ではなく

  • 自分が開発した独自のメソッドや理論をテキスト化して、講座を開催したい

  • 自分の人生経験を通して得たノウハウを1冊にまとめて、誰かに手渡したい

という方たちです。

すでに何らかの形で「学びの場」を主催していたり、自分で作った教材を使っているクライアントさんがいる一方で、まったくのゼロから「学びの場」を立ち上げたり「教える仕事」に挑戦される方もいます。

そこで、その思いを形にするべくプロジェクトを立ち上げて、クライアントさんと私たち(教材戦略ラボのメンバー)による二人三脚で教材制作を進めていくのですが、その現場はなかなか大変で、難儀を極めることも少なくありません。


クライアントさんの多くは、「文章が書けない」という課題意識をお持ちなのですが、実はそれ以外(以前)にも大きな壁が立ちはだかります。

そこで、教材制作に取り組むクライアントさんたちが直面される「3つの壁」について、3回に分けてお届けしています。

今日はその3回目(最終回)です。

今後、教材制作(特にテキスト作り)に取り組む予定のある方の参考になれば嬉しいです。

第三の壁:文章化の壁

そして最後が「文章化」の壁です。
もともとは「テキスト用の原稿が書けません」とおっしゃっていたクライアントさんたち。となると、一見この「文章化の壁」が大きそうなものですが、実はここに来るまでに適切な「客体化」と「体系化」ができていれば、「文章化」はたいした壁ではなくなります。

つまり、「文章が書けない」という問題を紐解くと、そのほとんどは「客体化できていない」と「体系化できていない」という課題であることがわかります。

客体化と体系化を通してまとめた「教材の目次」や「講座のカリキュラム」、そしてクライアントさんごとに個別に準備させてもらう「教材用テンプレート」があれば、あとはそれに沿って素材を準備していくだけです。
教材の仕様によっては、各項目の原稿が「4〜5行のサマリー」「図解」「Q&A」だけでも十分に教材として成立してしまうケースもあります。
こうなると、もはや「文章を書く」という気負いは必要ありません。

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このような客体化と体系化のプロセスを経て「文章化」に取り組むクライアントさんは、ストレスを感じることなく、むしろ楽しみながら「原稿入力」に取り組まれます。もちろん、それなりの時間と労力はかかりますが、心理的負担はだいぶ軽くなっているはずです。

とはいえ、クライアントさんとしては、「これで本当に良いのか? これできちんと伝わるのか?」という不安は最後まで付きまとうもの。その部分については、私たちがしっかり介入し、「受講生にはどう受け取られるか」という目線で適宜編集リライトをかけ、出版物としてのクオリティを高めます。

こうして無事「教材完成!」となります。
クライアントさんは大きな達成感を感じ、私たちもほっとする瞬間です。

以上、教材を作るときに越えるべき3つの壁として、「客体化・体系化・文章化」という3つの課題について解説しました。

ここではテキスト(冊子型教材)の制作を中心に紹介しましたが、この3つの壁は、別の形式の教材(動画やデジタル教材など)であったとしても同じように直面する課題だと思います。

 

今後、教材制作に取り組む方が「思い通りに進まないぞ…」と立ち止まってしまったときに、何らかの参考になれば幸いです。

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